新型コロナウイルスの感染拡大によって、今までの働き方や価値観のアップデートが求められてる昨今。あらゆるものごとが猛スピードで変化する渦中にいる私たちは、今、キャリアとどう向きあったらいいのか? そのヒントとなる考え方をプロに教えてもらいました。

教えてくれたのは、『リクルートキャリア』のみなさん

岩山笑子さん
ハイキャリア領域のコンサルタントで、主にIT領域を担当。今までに、約500名ほどの転職実現をサポート
小松麻美さん
事務職全般を担当するキャリアアドバイザー組織のマネジャー。地方への転職サポートをしていた経験も
高島優花さん
モア世代の広報担当。中途採用市場に関するレポート作成なども行う。地方×副業などの事例取材も

Q. ウィズコロナ時代。なんとなく将来の不安はあるけれど、今はまず何をするべき? この会社で働き続けていいのか? もし急に仕事がなくなったら? そんなことで頭がいっぱいです……。

今こそ自分が求める働き方、暮らし方を見極めるチャンスです!
「生活や仕事環境、価値観を変えた新型コロナウイルス。今後のキャリアやライフプランを考え始めるモア世代のみなさんの中には、加速度的に変化する未来に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。その漠然とした不安を解消するには、まずは自分の考えを整理し、クリアにすることから始めましょう。『どんな働き方をしたいか?』、『譲れないライフスタイルは何か?』、『来年、5年後、10年後、どんな自分になっていたいか?』、『自分の強みは何か?』などをノートに書き出して、自問自答してみてください。そうして明確な自分軸(=目指すべき未来)を持つことができれば、今自分に必要な情報収集や相談すべき相手が見えてきて、不安を前向きな行動に変えていけます」(岩山さん)

Q. 働き方の話を友達とするようになったけれど、人によって価値観はバラバラ。誰に相談するのが正解? どうすれば、進むべき方向が見えるようになりますか?

ウィズコロナ時代は、理想の働き方や暮らしの画像_1
まずは、本音で話せる家族やパートナーに。キャリアアドバイザーにも気軽に相談を。
「働き方を考えるうえで、自分の将来に関係が深い家族や配偶者、パートナーとあらためて話をすることが大切。結婚したら、子供が生まれたらなど、ライフステージに合わせてどんな働き方ができるか、家族のサポートが必要なのかを明確にできるからです。また、本音で話せる友達や同僚はもちろん、プロのキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめ。どんな些細なことでもいいので、理想とするキャリアやライフプランを、壁打ちのように人に話すと、自分の中の譲れないポイントが浮かび上がってきます。また、ネットを活用するのもひとつの手。たとえば、SNSで共感できる働き方や考え方のサンプルを収集するのも、自分の目指すべき未来の道すじを見つけるのに便利です」(岩山さん)

Q. 先行きが見えない今の状況下で転職活動をしても、いい会社には出合えないですよね? 転職をしたいと思っていたのに、出鼻をくじかれました。

むしろ、会社の本質が見えやすいタイミングでもあります。
「以前から転職活動中の方にとって、転職先として視野に入れていた会社が採用を一時休止してしまうなどの影響があったことは事実です。ただ、社会全体としては、大幅に転職市場が縮小しているわけではありません。むしろ、世の中がこのような状況になった現在でも採用活動を積極的に行っている企業は、人材に投資する体力や、変化にもスピーディに対応する力があるとも言えます。また、リモートワークで通勤時間がなくなり、以前より時間に余裕ができたからこそ、転職活動にも力を入れやすくなっているはず。働き方を変えたいと考えているのであれば、臆せずリサーチを始めてみてください」(高島さん)

Q. これからの時代、身につけておいたほうがいいスキルはありますか? 働き続けなくちゃというモチベーションが上がっています。

新時代に活躍するならITリテラシーは磨いて損なし! 「柔軟さ」が未来を切り開く手助けに。
「コロナ禍を生きる私たちは、今後も今まで培った価値観やスキルが、突然立ちゆかなくなる現実に直面する可能性があります。そんな時に大切になるのが、変化を受け止める“柔軟さ”と時代を読むための“情報収集力”です。偏った情報ではなく正確かつ有益なニュースを読んだり、客観的な視点でSNSなど世の中の声を受け止めるなど、社会人として冷静な“情報収集力”は身についていますか? そういったITリテラシーの見直しと向上を目指していれば、自ずと時代の流れが察知できるようになり、変化にも柔軟に対応できるはずです。また、事務職の方であれば、テクニカルスキルとして、『Excel』の技術を磨ききるなど、すでに持っているスキルのレベル向上に取り組んでみてください。簿記や秘書検定、英語力の証明として『TOEIC』の取得も仕事の幅を広げてくれます。自分の興味や時代の変化にしなやかに対応していくには、何ごとも学び続ける習慣を身につけておくことが重要になると思います」(岩山さん、小松さん)

Q. プライベートも大切にしたいので、ほどほどに働きたいです。これからの時代、そんな考えでは通用しないですか?

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働く時間や場所の選択肢が増えているからこそ、わがままになってよし!
「むしろ、自分に合った働き方を探るうえで、プライベートとのバランスを考えることは必要不可欠! 『家族や友達との時間』、『住みたい場所』、『時間を費やしたい趣味』など、自分のライフスタイルと仕事をどう両立していきたいかを書き出してみましょう。そうすれば、今の会社に勤め続けるのか、ほかのキャリアの道を探るのか、具体的に見えてきませんか? 何もキャリア志向だけが正解ではありません。どのような距離感で社会と接点を持ち続けたいのかを明確にすれば、理想のキャリアデザインを描いていけるはずです」(小松さん)
取材・原文/海渡理恵 監修/岩山笑子 小松麻美 高島優花(3人ともリクルートキャリア) photo by Getty Images