1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!

20歳で授かり婚し、余裕のない生活。その後に待っていたものは?

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ーDATAー

生田さん(仮名)/28歳/独身/男性


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離婚時に、100万円の慰謝料を請求された

授かり婚からドロ沼離婚へ。元妻の再婚を知の画像_1

――離婚時に、100万円の慰謝料を請求された?

はい。21歳の時に、元妻の洋子(仮名)から100万の慰謝料を請求され、離婚調停になりました。(生田さん、以下同)

――なぜ慰謝料を請求されたのですか?

洋子が、僕のモラハラを離婚理由として主張したからです。

その頃は、ちょうど芸能人夫婦間のモラハラがメディアに取り上げられて、“モラハラ”という言葉が世の中に浸透した時期だったと記憶しています。

――生田さんは、洋子さんに対してモラハラをしていたのですか?

いいえ。洋子に対して、一度も暴力をふるったことはありませんし、言葉の暴力もしたことはありません。

ただ、僕たちは授かり婚だったこともあり、お互いに金銭的余裕のない中での子育てで、口喧嘩をすることは頻繁にありました。

――どのような内容の喧嘩ですか?

当時僕は社会人1年目で、給料も手取り20万円以下くらい。洋子は専業主婦として子育てに専念していたので、家計は結構きつかったんです。

そんな中、僕が疲れて帰宅すると、部屋が毎日大荒れの状態でした。僕はあまりにも汚かったので注意したのですが、洋子にも「あなたは夜泣きしていても起きないし、私は疲れているの!」と僕への不満があるようでした。

そういう状況もあり、夫婦の仲はどんどん冷めていきましたね。

――離婚を切り出したのは、洋子さんからですか?

はい。ある日突然、洋子が子どもを連れて家から出ていったんです。次の日、洋子は自分の父親と一緒に家に戻ってくると、僕に離婚届を突きつけました。

――突然、ですか?

そうです。洋子の父親は、彼女をなだめ「やり直せないのか」と中立的な立場だったのですが、洋子は「離婚する」の一点張りでした。

――その時、生田さんはどう反応したのですか?

そこまで言うなら離婚しよう、となりました。離婚自体はすんなり決まったのですが、その後、洋子が100万円の慰謝料を請求してきました。

モラハラで慰謝料請求。離婚調停に

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――100万円、という金額はどこから出てきた金額なのでしょうか?

どうやら弁護士に相談をしたみたいです。彼女の話を聞いた弁護士は「100万ほど慰謝料は取れるかもしれない」と。

さらに養育費に関しては、月10万の請求がありました。当時の僕の手取りは20万円弱だったので、払えるものではありませんでした。

当然内容に納得できなかった僕と、慰謝料と養育費の金額を譲らない洋子との間で、話し合いができなくなり、離婚調停になったんです。


――離婚調停とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

離婚について夫婦で話し合いがまとまらない場合、第三者である調停委員が間に入り、離婚に関する問題を話し合うものです。僕たちはお互い離婚には同意していたものの、僕が慰謝料と養育費に納得できず、そこが話し合いのポイントになりました。

最終的に離婚が成立するまで、半年かかりましたね。とても長かったですし、大変でした。


――そんなにかかったのですね。慰謝料と養育費は最終的にどうなったのでしょうか?

モラハラの証拠となるものは調停では認められず、慰謝料なしになりました。養育費に関しても、一般的な金額に収まりました。


――そもそもなぜ、洋子さんはモラハラを主張したのでしょうか?

わかりません。ただ、離婚後に知ったのですが、洋子は僕の母親から100万円以上の借金をしていたこともあり、お金に関して困っていたのかもしれません。

再婚を知らず、養育費を払い続けていた

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――その後どうなったのですか?

毎月養育費を払い続けていたのですが、つい2年前、実は洋子が再婚していることが発覚しました。


――報告は受けていなかったのですか?

はい。離婚後、僕は子どもとの面会もほぼしないということで同意していたこともあり、洋子とは連絡をとっていなかったのですが、僕の母親が偶然洋子のインスタグラムを見つけて知ったんです。


――洋子さんはいつ再婚していたのですか?

離婚した2年後です。さらに再婚相手と子どもが養子縁組を結んでいたことがわかりました。

この養子縁組によって、僕の養育費の支払い義務がなくなっていたのですが、それを知らなかった僕は、法律上支払う必要のない養育費を、200万円近く支払っていたことになります。


――それを知ってどうしましたか?

洋子に連絡を入れましたが、まったく連絡がつかず……。結局また裁判所に行き、養育費免除の手続きを踏みました。払った分の養育費は戻ってきませんでしたが。


――振り返ってどう思いますか?

モラハラで慰謝料を請求された時は、「なぜ!?」と驚きました。

もちろん口喧嘩はしましたので、僕も洋子に色々と言いましたし、彼女から僕も色々と言われました。ただこれが法律上のモラハラになるかどうかはまた別の話だと思います。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。