東 啓介連載「tone0714」vol.10

現在、大人気ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』に出演している東さん。また、ドラマでも活躍中です。
この秋出演した作品のひとつは、ゲーム開発の夢と苦労と葛藤をリアルに描いたテレビ東京ドラマ『チェイサーゲーム』(魚川貴央役)。
さらに、非合法な金貸しとして生きるヒロインが理不尽な要求を受けながらも裏社会で生き抜く様を描いたMBSドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』(肉蝮[にくまむし]役)にも出演。

今回は、現場での「あんなこと」や「こんなこと」、「え、そんなことも!?」といった撮影裏話を聞いちゃいました。

東啓介
「tone0714」の意味:東さんの愛称「とん」と、“音色”や“濃淡”を意味する「tone」を掛け、そこに誕生日7月14日の数字を組み合わせたタイトル。

お菓子好きキャラを、常に自身に溶け込ませていた“ハマケンさんの素敵さ”

――ミュージカルに加え、ドラマが2作も。10〜11月は「東啓介強化月間」と言えます。

:MBSドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』も、『チェイサーゲーム』も、少し前に撮り終わってるのですが、現場でのことはよく覚えてます。

――『チェイサーゲーム』、現場の雰囲気はいかがでしたか?

:(思いの深さゆえ、発言までにかなりのタメを入れつつ)めちゃくちゃっよかったです。いろんなジャンルで活躍されている共演者の方たちからその業界ならではの話をたくさん聞けて面白かったですし、スタッフさんもすごくいい人たちばかり。現場の雰囲気は最高でした。特に、同僚役・浜野謙太さん……ハマケンさんが素敵すぎて。

――ユーモラスな魅力を持ってらっしゃる方ですよね。

:まさにそれです(笑)。いつもお菓子を食べているキャラクターなんですけど……常に食べてるんですよ。リハーサルだろうが、段取り中だろうが、カメラが回っていないところでも、絶えずスナックのお菓子を! しかも、食べているだけで面白いんです。お菓子を食べるしぐさひとつで笑いを取るって、なかなかできないじゃないですか。

――そうですね(笑)。

:スナックのような“消え物”って、なくなったらいけないので、やっぱり気を遣うんです。でも、ハマケンさんは食べることをやめない。「どうしたら、より変に見えるか」とか「“人間らしく、面白く”というキャラが立つように」と考え、 “お菓子好きの同僚・上田和範”のリアルな感じを自分に溶け込ませていたんです。それをふざけてやってるように見せて、やっているんです。……めっちゃ素敵だなぁ♡ ハマケンさんに聞いたら、「え? 食べたかっただけだけど」って言うかもしれないですけど(笑)、そういうところも素敵。

あと、上司役のやべきょうすけさんの演技にも刺激を受けました。ドスの効いたしゃべり方をするキャラなんですが、怒りの表情、体の震わせ方がリアルで。舞台であれば少し拡大(誇張)をしなきゃいけなかったりするんですが、そこまで大きな動きをしないで怒りを表現できるのは素直にすごいなって思いました。

そして、現場のみなさんとコミュニケーションがしっかり取れていた感じがします。休憩している時も、出演者の方とスタッフさん、みんなでおしゃべりしたり、ごはんを食べたり。すごく撮影しやすかったです。
東 啓介

スペックとスキルは比例しない

――『チェイサーゲーム』での現場ルーティンはありましたか?

:ひとつだけ。僕が演じる魚川は天才グラフィックデザイナー・シネマティック(注:ゲーム中にカットインされるムービーを制作する仕事)なので、デスクまわりにペンタブ(ペンタブレット)があるんですよ。待ち時間の間は、それを使って絵を描いてました。お花とか。

――普段からペンタブを?
 

:今回が初めてです。撮影中、本物の魚川さん(原作は、実在のゲーム制作会社を舞台にしているため)にお会いして、おしゃべりをしたんですけど、「ペンタブにそんなに早く慣れている人、初めて見ました」と言われました。やっぱり、手もとを見ずモニター画面を見ながら描くのって難しいらしくて。すごいですねってほめてくださいました。

――天才グラフィックデザイナー・シネマティック役にふさわしいエピソードですね。東さんの実際のパソコンスキルは……。

:え、普通かな? 映像編集はしますけど、めちゃめちゃすごいわけじゃないんで。でも、ペンタブで描いた絵なら、もしかしてびっくりするかも(と、1枚の絵をスタッフに見せる)。

――わ、きれいなお花! 色調がモノトーンなのがいいですね。何を見ながら描いたんですか? 

:現場で描いたので、想像です。最初に真ん中へ花をひとつ描いて。そこからふたつ、みっつと花を増やして繋げていったら、最終的に花束のようになりました。ペンタブ、一度使ってみたいと思っていたので、ついつい楽しんじゃいました。一応、SNS用に絵の写真も残してるんですけど、ネタバレみたいになっちゃったらアレかなと思って、スマホの中に眠ったままです(笑)。

――アップしましょう! クールな魚川が、こんな繊細なイラストを描いていたとは……。

:待ち時間はこれに全集中しました。僕のSNSにイラストが上がったら、魚川を思い出してください(笑)。

――初めてのペンタブでここまでできるということは、スキルが高いんですね。

:スキルが高いかどうかはわかりませんけど、ガジェット好きではありますね。新型コロナウイルス感染症の影響によるステイホーム期間中、動画サイトに曲の動画を投稿したことがあるんです。その時は全部自分で一から編集しました。まずは使いやすそうな動画編集ソフトを調べて、それをパソコンに落とし、編集のやり方を調べて……みたいな感じで作ったんですけど、好きなものを調べる作業自体がすごく好きなので面白かったです。

――今後も動画作品が増えそうですね。

:僕のパソコンのスペック、めちゃくちゃ低いんですよ(笑)。コンピューター関係の仕事をしている高校の友達なんて、「それはもはやパソコンではない」と(笑)。買い替えろと言われ続けて、数年がたちました。「めっちゃ物持ちがいい」とは言われるんですけど……。今のパソコンは2014年から使ってます。

――なるほど、当時の最高スペックのものを買ったのですね?

:そうなのかな……? 地方公演に行った先でのDVD鑑賞とか、友達とのSkype通話とかが目的で買ったものなので、メモリも積んでいないんですけど。当時はまだ学生でお金もなかったし。2022年の今、買い替えの必要性を強く感じています(笑)。

――8年選手ですもんね。

:それが、まだ全然使えるんですよ! 僕が作った5分のMVを書き出すのに30分かかったり、パソコンの下に冷却材を敷かないと熱さでショートしちゃうことはありますけど。

――全然大丈夫じゃなさそうですよ!?

:まぁ、そんな感じで悩みに悩んで、いまだに決断できないでいます。
東 啓介
東 啓介

オーディションで勝ち取った肉蝮役で“超人”に

――さて、『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』の肉蝮役について。超人レベルの強さと肉体ですべての者を脅かす存在というキャラクターなので興味深々です……。

:肉蝮役はオーディションで勝ち取りました。ウシジマくんは誰もが知っている人気シリーズ。そんな作品で役を勝ち取れたことはめちゃくちゃ嬉しかったですね。ただ、ルックス的に「僕でいいの?」とは思いました。いろんな意味で超人的な役なので、役作りにはかなり悩んだんですが、原作を読んだ時にスイッチが入りました。今回は徹底的に「汚くいこう」と。
肉蝮は身体能力が凄まじく、気まぐれで常識が全く通じない危険人物。凶悪で残虐で無責任な、欲望の塊のような人物で……って、読者の方に怖がられそうですね(笑)。髪の毛はボサボサ、口には汚れた色のマウスピースを入れて、標識をぶん回してます(笑)。
本当は髪の毛を真っ白にしようと思ったんですが、撮影時期が他のドラマ(『ナンバMG5』)と被っていたのでやらずに臨みました。
肉蝮はかなり強烈なキャラクターですが、筋が一本通っている男とも言えるんです。「自分がルール」ということを、きっちり守っているので。

――確かに、社会のしがらみや暗黙の了解に左右されることが多い中、肉蝮の「ルールを守る強さ」には惹かれるものがあります。

:そうなんですよ。肉蝮のように「自分が自分でいられたらいいのに」って思わなくもない。でも暴力は絶対にダメです(笑)。
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Ⓒ2022 真鍋昌平・山崎童々・小学館/ドラマ「闇金サイハラさん」製作委員会・MBS
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東啓介が語る『チェイサーゲーム』&『闇金の画像_7
――そういえば公開されているスチールで、“東さん二人分”くらいの長さの標識を担いでましたよね、なんだか軽々と……。

東:サイハラさん的に言えば、「マジモンの本物」です。いろんな人に「どうせ偽物なんでしょ?」「軽い標識を担いでるんでしょ?」とか言われるんですけど、本物とほぼ同じに再現したものなのでガチで重かったから(真顔)!
標識は3メートルくらいあるんですけど、待機中もずっと担いだままなんですよ。「やばい、マジで重い」と思ってたら、途中、スタッフさんが手伝いに来てくださって。3人がかりで標識を持ってたんですけど、今思えば、かなりシュールな絵になってたと思います。「あの手伝ってくれた方たち、今は何やってんだろうな……」(笑)。
ちなみにそのシーン、監督からの指示がめちゃくちゃ面白かったです。「ここらへんから、ポーンと標識を引っこ抜いて歩いて、ウシジマぁ!って叫びながらバーンと振り回してもらっていい?」って(笑)。

――指示内容や標識の重さが重量級のわりにはフェザータッチな指示ですね(笑)。で、本当にそんな重いものを抜いて歩いて振り回したんですね!?

東:はい(笑)。打合せでは”お店の看板を持つ”という話だったんですけど、当日行ったら標識に変わってました(笑)。ドラマを見てもらえればわかると思うんですけど、撮影場所が路地なんですよ。つまり、下手に標識を振り回したら……。

――クラッシャー東に!(笑)

東:なんとか破壊神にはならずにすみました。あの重さは絶対に映像じゃ伝わりきらないと思うので、ここでお話ししました(笑)。それを踏まえてあのシーンを観ると、よりドラマが楽しめると思います。

――天才クリエイターに破壊神(笑)にと、日々新しい扉を開いていく東さんにエールを贈ります……。

東:ありがとうございます! 最近、お仕事の告知をするたびに、ファンの方たちから「東くんは悪者になっていくのね」ということを言われたりするんですけど(笑)、大丈夫。僕は僕ですから!
東 啓介
東 啓介
ニット¥37400・シャツ¥23100・パンツ¥27500/ラッド ミュージシャン 原宿(ラッド ミュージシャン) ネックレス(パール付き)¥13750/ジョワイユ(ハーゴ) ネックレス(チェーン)¥63800/IVXLCDM 六本木ヒルズ(IVXLCDM) イヤーカフ(右耳・左耳)各¥2750/シアン PR(エルエイチエムイー) バングル(左手2本)各¥5500/シアン PR(ファクトタム) ブレスレット(右手細チェーン)¥88000・ブレスレット(右手太チェーン)¥330000/シアン PR(シンゴクズノ) ブレスレット(左手チェーン)¥53900/スタジオ ファブワーク(ハリム) リング(左手)¥27500・リング(右手人差し指)¥23100・リング(右手薬指&小指)¥23100/スタジオ ファブワーク(ミラ) その他/スタイリスト私物
●ラッド ミュージシャン 原宿:℡03・3470・6760 ●ジョワイユ:℡03・4361・4464 ●IVXLCDM 六本木ヒルズ:℡03・6455・5965 ●シアン PR:℡03・6662・5525 ●スタジオ ファブワーク:℡03・6438・9575

リアルイベント開催!『東啓介と聴活★Christmas Special Event 2022』

産経新聞社のエンタメプロジェクト「マチ★ソワ(待ちきれなくてそわそわしちゃう)」で連載中(毎月10日公開)の「東啓介と聴活。~ミュージカルソングへの誘い~」。この人気コラム初のリアルイベントがChristmasに開催決定! ゲストは、東さんがミュージカル『マタ・ハリ』で共演した田代万里生さん。
「聴活」の“公開取材会"が行われたり、コラムで紹介してきたミュージカルソングの中からセレクトした楽曲を東さんが歌ったり! 聖なる夜に、素晴らしい歌声が響き、会場中に明るい笑顔があふれそうです!

■『東啓介と聴活★Christmas Special Event 2022』詳細は下記からチェック♪
https://metropolitana.tokyo/ja/matisowa/257
◆先行抽選販売(イープラス)
受付期間:10月28日(金)~11月3日(木・祝) 
◆一般販売(イープラス)
11月12日(土)正午〜(先着販売)

プロフィール

ひがし・けいすけ ●1995年7月14日生まれ。東京都出身。2013年、『テニスの王子様』(2ndシーズン)で俳優デビュー。その後はミュージカル作品を中心に活躍し、『ダンス オブ ヴァンパイア』(2019年)では帝国劇場の舞台にも立ち、近年では『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』や『マタ・ハリ』(ともに2021年)などに出演。また、映像作品にも活躍の幅を広げる。2022年は、1月にTBSドラマ『ファイトソング』、6月にフジテレビドラマ『ナンバMG5』に出演。
現在、テレビ東京ドラマ『チェイサーゲーム』に孤高の天才クリエイター・魚川貴央役で出演中。MBSドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』にも肉蝮役で出演。また、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にボブ・ゴーディオ役で出演中。
■テレビ東京ドラマ『チェイサーゲーム』公式ホームページ https://www.tv-tokyo.co.jp/chasergame/
■MBSドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』公式ホームページ https://rhino-loan.com
■日生劇場 ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』公式ホームページ https://www.tohostage.com/jersey/

東 啓介:公式サイト&公式SNS

■公式サイト https://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000062/
■公式Twitter @keisuke_higashi
■公式Instagram @keisuke_higashi_official
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取材・文/中川 薫 撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/yuto スタイリスト/青木紀一郎