【はあちゅうさん直撃インタビュー】初小説に込めた想いと、女子が強くなるヒントとは?

小説を読まない人にこそ読んでもらいたい!

【はあちゅうさん直撃インタビュー】初小説に込めた想いと、女子が強くなるヒントとは?_1
モア本誌の連載『恋の名言博物館』でもおなじみの作家・ブロガーはあちゅうさん。各SNSやブログなどウェブメディアから、雑誌連載、テレビのコメンテーターなど多方面で活躍中ですが、先ごろ自身の夢のひとつでもあったという初小説『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』を上梓しました。

ちょうど取材前日に重版が決定するなど反応も上々な様子。ウェブメディアの編集長として激務に追われる29歳のOL奈緒と、ひょんなことから彼女が出会うメンタルジムの代表、ヒカリ。ふたりの会話を中心にした小説は、まさにデイリーモア読者世代が主人公であり、仕事に恋愛にお金にと、いろんな悩みを持つ多くの女性の共感を得る内容になっています。そこで今回は、この作品に込めた想いやメッセージ、働く女性としての哲学などいろいろ聞いてみました。

――多忙な活動の間での書き下ろし小説ですが、そもそものきっかけやどのくらいの期間かかったのかなど制作に関して教えてください。

「昨年出版した『半径5メートルの野望』の中で“30歳に小説を出したい!”と書いていたんですが、その本を読んでくださった編集さんがメールをくれたのがきっかけなんです。だから、最初からは1年以上かかっていますね。改めて小説を書くとなると“あれも入れたい、これも書きたい”という強い気持ちがあったのですが、自分のいまの筆力を考えて、最終的には、あまり背伸びしない内容をと思いました。

実は最初は恋愛に関する小説を書こうとしていたんです。恋愛のテクニックや女子の本音の感情を込めた恋愛小説にしようかと。ただいざ書いてみると、あまり言葉がでてこないし、私なりの味つけや心情だけを伝えるには文章力が足りないことも感じて。そこで、今作は文章の表現をていねいにするよりは、伝えやすいセリフの形で、自分なりのメッセージを伝えることに終止した小説にしようと思ったんです」

――たしかに対話形式なのですごく読みやすいし、小説では珍しく重要なフレーズを太字で強調されてもいます。

「読みやすさはとても意識しました。自分自身、小説好きにも関わらず、いまは小説を読む時間が少なくなったり、いざ読もうとすると気合いが必要だったりするんです。そして、私のまわりでは、小説の話をする人って本当に少なくて、今年の『本屋大賞』受賞作すら知らない人もいる。そういう人たちに届く本はどういうものなのかを考えたら、さくさくひと晩で読めるものなんだろうと思い、文体や構成はすごく軽くしたんです。

あとは、いま紙の本って断捨離というか、捨ててしまう人がまわりにすごく多くて。でも、私もそうなんですが、なにかひっかかったフレーズがある本は捨てられずに本棚に置いているんですよね。だから、刺さる言葉、同世代の誰かの気持ちを代弁するような言葉を意識的に本文中にちりばめました。小説や本を読まない人には、太字があったほうが読書に集中できますし、今作はストーリーがさらっとしているので太字のフレーズがあることで、一瞬止まってくれるというか抑揚もつきやすいだろうと思いました。あと、カバーをとったとき雑貨感があるような装丁にしていただいたのも、とにかく本棚に残してほしい本にしたかったからなんです」

夢を叶えただけでは、人生は激変しない!

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――実際に小説を出されての反響はどうですか?

「想像以上に反響が多くてびっくりしています。たとえば、これまでよりアマゾンのレビューがつくペースが速く、しっかり書き込んでくれている方が多くて……。私のブログやオンラインサロンなどの読者は、小説よりはビジネス本好きが多いという印象があったので、買ってくれないかもという不安があったんです。でも実際は既存のウェブ読者の方や、少し挑戦的なタイトルが気になって買ってくれたという方もいて。“小説を読まない人に読んでもらえるものを書く”という目標を少しは果たせたような気がします」

――ちなみに、「2歳のころからあこがれて、高校時代には文学賞に何度も応募した」ほど作家になりたかったはあちゅうさんが、人生の中で大切にしている本を何冊か教えてください。

「たくさんありますが、まず林真理子さんの『ワンス・ア・イヤー―私はいかに傷つき、いかに戦ったか』です。ご自身の自伝的長編小説ですが、私にとってすごく大切な一作です。あとは、ダイアナ・コールス作の童話『アリーテ姫の冒険』。普通は、困難にたったとき、王子様がきて助けてくれる話が多いけど、この作品は他人に頼るのではなく、自分の力で人生を変えていくお姫様のストーリーなんです。

ほかにも柚木麻子さん、湊かなえさん、江國香織さん……好きな作家さんをあげるとキリがないですが、長編だと、西加奈子さんの『サラバ』は壮大なストーリーで圧倒されましたね」

――本作の内容についてお聞きします。主人公の奈緒が悩むテーマは「仕事」「恋愛」「お金」「時間」「家族関係」「ダイエット」など、まさにデイリーモア世代の働く女性が共感できる内容になっていて、そこも読みやすさにひとつの理由になっています。

「まさに働いている女性に読んでもらいたいと思っていましたし、仕事を中心にした悩みって同じところをぐるぐるしていることもあります。そのためのヒントになることを書きたいと思っていました。

自分自身、大学時代から心理学などに関心があって、アンソニー・ロビンスという世界最高峰コーチの高額なセミナーに参加したこともあるのですが、それらの経験を通じて、人間の悩みってどの世代、どの人種でも似たテーマになることを学んできたんです。もちろん私も奈緒と同じことを悩んできたし、今も悩んでいることがあります」

――たくさんの心に刺さるフレーズがありますが、今作で一番伝えたいメッセージは?

「『自分の人生は自分で変えようと思わないと変わらないこと』『自分の人生は受け身じゃなく自分で変えていこう』ということ。私の本で伝えたいことはいつも同じなんですが、それは私がそうだったからこそ!

たとえば、幼いときからずっと本を出したいと思っていたけど、自分が本を出せるような特別な人にはなれないとも思っていたんです。でも大学時代にブログを始めたことで世界が変わり、本を出すことができた。『私みたいな人間でも本を出せるんだ』と経験することができたんです。

でも、それだけで人生が激変することはなかった。当時、本さえ出せれば、モテるようになりお金もたくさん入るとか(笑)、人生が一変すると思っていたんです。でも本が出ただけで特別に有名になるとかまったくなくて……。そういう経験を経て、人生はひとつの目標を達成できたから激変することはないけれど、変えようとする過程を楽しむことが大切なのでは、と思うようになったんです」

強くなりたいなら、たくさんの人に会おう!

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――ただ、人生を、自分を変えるための行動をして失敗することが怖いと思う人も多くいそうです。そんな人たちが、いまの自分より強くなれる秘訣ってなにかありますか?

「私が強くなったのは、たくさんの人に会ったから。なので、悩んでいる人はまずはたくさんの人に会うことをおすすめします。私の経験の中でも、それを実感する大きな出会いがふたつありました。

ひとつはさきほど話した大学3年のときに海外のセミナーで出会った人たち。実はこのセミナーには世界中からお金持ちなどいろんな世代、人種の方がたくさん集まるんですが、彼らでも悩むことって、“やせたい”とか“もっとお金がほしい”とか“家族とうまくいかない”とか本当に私と同じようなことだったんです。

もうひとつは、トレンダーズに転職してから、日々、テレビや日経新聞に出ているような日本を代表する社長さんたちに会う機会をいただけたこと。でも、夜の宴席などで一緒になると、おちゃらけたおじさんだったり、それこそ世の中を動かしている彼らより、社会人スキルだけなら私のほうが高いのでは?と思えるようなことも多くて(笑)。すごい人たちも、完璧じゃないんだな、という勇気をもらいました。

そうしてたくさんの人に会うことで、悩みの質はあまり変わらないのに、世の中で活躍している人と自分との違いなんだろうと考えると、“リスクを取れるか”と“自分を信じてあげられるか”ではないか、と私なりに理解できたんですよね」

――また、なにか行動することで、やっかみを受けたり嫌われたりすることが怖いという人もいます。はあちゅうさんもネットでの発言なので、反感を買ったり炎上したりした経験もあると思います。嫌われることのつらさや怖さにはどう対処していますか?

「私も嫌われたくないのでその気持ちはよくわかります。いま『半径5メートルの野望』を読み返しているんですが、本ではとても威勢のいいことを言っているくせに、いまだにエゴサーチしてはへこんだりしていますし(笑)。でも、“いい子でいても嫌われる”ことと、“いい子でいて嫌われるとさらにストレスが貯まる”ことが身をもってわかったので、言いたいことは言った方がいいと思うようになりましたね」

――では最後に、デイリーモアは“よくばり女子のためのウェブマガジン”なのですが、あれもほしい、これもしたい、といろんなことに貪欲な女子についてどう思いますか?

「私は欲張る女子のほうが、結果的に幸せが多く、人生が楽しくなると思います。もちろんぜんぶ欲しいと思う気持ちは自分を生きづらくもします。私も、まったく張り合うところじゃないのに、テレビでキレイな女優さんを見ると、『もっとキレイになりたい!』と思ったり、『あの作品のように本を100万部売りたい!』と思ったり、欲張っているからつらくなることも多いのですが、欲張る結果、自分を変えようとも思うので、総合的にみると自分を成長させてくれる方が大きいんですよね。……そういえば、電通のコピーライター時代に、『女の子は、欲張りなほうがキレイだ』っていうコピー書いたことをいま思い出しました(笑)」
(プロフィール)
はあちゅう/ブロガー・作家。慶應義塾大学在学中にブログを立ちあげ話題に。大学卒業後、電通のコピーライター、トレンダーズでウェブメディアの編集長を経て、2014年よりフリーに。“ネット時代の作家”を目指し、オンラインサロンや、ウェブマガジン「月刊はあちゅう」などウェブコンテンツ制作のほか、『真夜中にシュークリーム』『疲れた日は頑張って生きた日 うつ姫のつぶやき日記』など著書多数。
【はあちゅうさん直撃インタビュー】初小説に込めた想いと、女子が強くなるヒントとは?_4
『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』
(KADOKAWA/ 1300円)
●ストレスフルな生活を送るOL奈緒は、ある日「メンタルジム・ヒカリ」の経営者ヒカリに出会う。彼女の不思議な魅力にひかれ、1か月ジムに通ううちに、たくさんの不安の正体が見えてきた。「なんとなくウツ」が口癖の女子へ、心と体、仕事、恋、お金、人間関係……働く全女子に必要な言葉とヒントにあふれた作品。
取材・文/デイリーモア 撮影/宮本暁子

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