
舞台はブリュッセル。アパートに家族と住んでいる神様は、パソコンで身勝手に世界を支配している超イヤな奴。父親の横暴な姿を見ていた10歳の娘のエアは、「運命に縛られず自由に生きてほしい」という願いから、神様のパソコンから余命を一斉送信してしまうのです。メールを受け取った人たちは、人を殺したり、余命の真実を確かめようとビルから身を投げたりと大パニック。「おいおい、余計なことするなよ!」とエアにツッコミたくなりますが、本題はここから。悲観的に余命を捉える人がいる一方で、残りの人生を謳歌しようと新たな一歩を踏み出す人も出てくるのです。
その最たる例が、愛のない結婚生活を送っている主婦がゴリラと恋に落ちるエピソード。しかもその主婦を大女優のカトリーヌ・ドヌーヴがノリノリで演じていて最高にチャーミングなのです。劇中では「恐れないで好きなことをやろうよ。罰はないんだから」というエマの台詞があるのですが、監督が描きたかったのはまさにこれ。年齢や性別、属性など、置かれた立場の中で無意識のうちに作り上げたルールに縛られている私たちに、自分を解放して自由に生きることの大切さを伝えたかったそう。ちなみに監督は、「余命0分」のメールを見た瞬間に事故に遭うドライバー役でカメオ出演しています。天才の頭の中を覗き見しているような、イマジネーションあふれる自由な映像表現も注目です!
(文/松山梢)
●5月27日(金)、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
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