12星座全体の運勢

「最初の思い」 

年末が近づき、慌ただしさが増すとともに、華やかに街がにぎわうこの季節。そんな中、冬至直前の12月19日にふたご座27度(数えで28度)で今年最後の満月を迎えていきます。 

ふたご座28度のサビアンシンボルは「破産宣告を認められた男」。ここではもはや「優れた個人であることを証明する」という不毛な競争のフェーズが終わり、これまでどこかで違和感を感じていたアイデンティティやセルフイメージを不可逆的に壊していくことがテーマとなっていきます。 

ただ、それは本質的には必ずしもネガティブなものではなく、どんな人間もひとりで生きている訳ではない以上、自分がどんなコミュニティに属していて、いかなる仕方で持ちつ持たれつの網目の中にあるのかということを改めて可視化していく通過儀礼であると同時に、救われたい、誰かに、ないし社会に良いことをしたい、と心から最初の思いを発揮しなおしていく大きな節目ともなっていくように思います。 

ちょうど、この時期には「南天」が鮮やかな赤い実をつけますが、実に咳止めの薬効があり、葉にも腐敗防止の作用があるとされ、何より「難を転じる」という語呂合わせから、古来より縁起がいいとされてきました。 

今期のあなたもまた、みずからの未熟さ、つたなさを念頭に初心にかえり、これから自分は何をしていきたいのか、という「最初の思い」を真っ白な紙の上に書き出してみるといいでしょう。 
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射手座(いて座)

今期のいて座のキーワードは、「目を見開く」。

射手座のイラスト
良きにつけ悪しきにつけ、時に私たちは「百聞は一見に如かず」ということを人生において経験し、或るひとつの光景を目にすることで人生まで変わってしまうことがあります。そして、そうした視覚によって焼き付けられた記憶やそれにもとづく感情は、やはり同じ視覚による異なる光景との出会いを通してしか変化させることはできないでしょう。 
 
その意味で、アン・リンドバーグにせよ、サン=テグジュペリにせよ、飛行機を使って空から地球を「見てしまった」作家というのは、人間について、それまでになかった視野を切り開いてくれたように思いますし、例えばサン=テグジュペリの『人間の大地』には、「僕らは宇宙的尺度で人間を捉え、実験器具を覗き込むように飛行機の窓から人間を観察する。僕らは僕ら自身の歴史を読み返す」という、視野の拡張が私たちにとって何を意味するのかを示唆する文章が出てきます。 
 
こうした新しい尺度や視野との出会いは、それとともに人間がつくりだす文学や建築や音楽をも少しずつ変えていくはずですが、何より私たちの人間関係をも大きく変えていくのではないでしょうか。 
 
「どうして僕らが憎みあったりするだろう。」 
 
サン=テグジュペリはこんな風にも書いています。 
 
僕らはこの世界に対して連帯して責任を負っているのだ。僕らは皆、同じ惑星によって運ばれていく仲間であり、同じ船の乗組員なのだ。さまざまな文明がぶつかりあいながら新たな統合を目指すのはいいが、互いにむさぼりあうのはごめんだ。」 
 
同様に、いて座から数えて「視線の交錯」を意味する7番目のふたご座で満月を迎えていく今期のあなたもまた、こうした星占いも含めて、空からの視点で、人間がみずからがどう変わってしまったのか、また、変わっていきたいのか、改めて考えてみるといいかも知れません。 
 
 
参考:サン=テグジュペリ、渋谷豊訳『人間の大地』 (光文社古典新訳文庫) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ