12星座全体の運勢

「最初の思い」 

年末が近づき、慌ただしさが増すとともに、華やかに街がにぎわうこの季節。そんな中、冬至直前の12月19日にふたご座27度(数えで28度)で今年最後の満月を迎えていきます。 

ふたご座28度のサビアンシンボルは「破産宣告を認められた男」。ここではもはや「優れた個人であることを証明する」という不毛な競争のフェーズが終わり、これまでどこかで違和感を感じていたアイデンティティやセルフイメージを不可逆的に壊していくことがテーマとなっていきます。 

ただ、それは本質的には必ずしもネガティブなものではなく、どんな人間もひとりで生きている訳ではない以上、自分がどんなコミュニティに属していて、いかなる仕方で持ちつ持たれつの網目の中にあるのかということを改めて可視化していく通過儀礼であると同時に、救われたい、誰かに、ないし社会に良いことをしたい、と心から最初の思いを発揮しなおしていく大きな節目ともなっていくように思います。 

ちょうど、この時期には「南天」が鮮やかな赤い実をつけますが、実に咳止めの薬効があり、葉にも腐敗防止の作用があるとされ、何より「難を転じる」という語呂合わせから、古来より縁起がいいとされてきました。 

今期のあなたもまた、みずからの未熟さ、つたなさを念頭に初心にかえり、これから自分は何をしていきたいのか、という「最初の思い」を真っ白な紙の上に書き出してみるといいでしょう。 
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水瓶座(みずがめ座)

今期のみずがめ座のキーワードは、「五十人くらい」。

水瓶座のイラスト
国連の出した報告書などを見ると、世界人口は今後2050年には97億人へと、今後30年で20億人の増加となる見込みだそうですが、日本をはじめ少子高齢化に陥っている先進国などでは、今後人口の減少を経験する国も増えていく見込みなのだそうです。 
 
岩明均の名作漫画『寄生獣』の冒頭シーンにも、「この星には人間が多すぎる」という人類の集合的無意識が漏らした(という設定の)セリフがありましたが、どうも地球との関係において人類を捉えていく際のキーワードは、完全に「成長」やら「発展」から、「限界」や「衰退」ないし「滅亡」や「再構築」へと切り替わりつつあるのでしょう。 
 
そうするとまだまだ幅を利かせている「いい年をして独身なんてみっともない」とか、「結婚しているのに子供がいないというのは何か問題がある」といった考えも、どんどん古くなっていくはずですが、個人的にはどうもまだこうしたことを不躾に言ってくる(言う方は大抵は親身になっているつもりの)相手に対するうまい切り返しというのを、直接的にはほとんど見聞きしたことがないように思います。 
 
そこで思い出されるのが、作家の深沢七郎が1963年に行われた木山捷平との対談のなかで、既婚で子が一人いる木山にやはり「そろそろ女房をもらったら」「子供は…」などと聞かれるなかで交わされた次のようなやり取り。 
 
深沢 僕はいろいろ束縛されるのが嫌ですからね。それから感謝されるのが嫌ですね。それが今までで一番嫌なんです。責任をもつということが大嫌いなんです。いつでも責任を持たされてね。 
木山 締切と枚数と同じだ。(笑) 
(中略) 
深沢 大体僕は地球上に人間がふえるということが反対ですね。子供は一人でいいんじゃないですか。 
木山 親が二人だから、それじゃ半分になっちゃう。 
深沢 半分になったほうがいい。正宗先生に、「東京にこんなに人がいる。五十人くらいでいいんじゃないですか」といったら「五十人じゃア」というから「太田道灌が江戸城を築く前にはそのくらいだったじゃないですか」「それでもそんな……」「その前はそのくらいじゃないですか」といったら、黙っちゃったですものね。(笑)」 
 
みずがめ座から数えて「子ども」を意味する5番目のふたご座で満月を迎えていく今期のあなたもまた、深沢くらい頓智をきかせてこれからの未来を語っていきたいものです。 
 
 
参考:深沢七郎『深沢七郎の滅亡対談』(ちくま文庫)
12星座占い<12/12~12/25>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ