12星座全体の運勢

「持ち越して行くべきもの」 

いよいよ激動の2021年も終わり、年が明けてすぐの1月3日にはやぎ座12度(数えで13度)で2022年初となる新月を迎えていきますが、そんな今回の新月のテーマは「超越への意志」。 

ちょうどこの時期は七十二候で言うと「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」にあたり、この雪の下で芽を伸ばす麦のことを、別名「年越草(としこしぐさ)」と呼んだりするのですが、これは秋に発芽して冬を越し、次の年になって実を結ぶ植物(一年草に対して越年草とも言う)の代表が麦であるということに由来しています。 

同様に、年が改まったからと言って、それまでのものが何もかも終わってしまう訳ではなく、むしろ次の年へと何が何でも持ち越していかなければならないものが必ずあるはず。それは大切な人との縁であれ、経験を通じて得られた学びであれ、まだ解決できないままくすぶっている問題であれ、事柄の種類は何であっても構いません。いずれによせ大切なのは、それが確かに在るからこそ自分が強くなれたり、エネルギーが一気に引き揚げられたり、また、人生が未来へと開けていきそうだと心から感じられるかどうかなのです。 

もしそういうものが一つでも見つかったならば、改めて今回の新月の期間には、岩に忘れてはならない教えや掟を刻むがごとく、旧年から持ち越していくべきものとの合一や血肉化を試みてみるといいでしょう。 
>>星座別の運勢を見る

天秤座(てんびん座)

今期のてんびん座のキーワードは、「共生を通じた哲学」。

天秤座のイラスト
何かを学ぶにせよ、成果を出すにしろ、ひとりの力では限界があるけれど、みんなの力を借り、共同で行っていけば驚くような学びが得られたり、成果を出すことができる。それがてんびん座にとって2021年から2022年へと引き継ぐべき思いであったのではないかと思います。 
 
同様に、思想は書物だけで受け継がれるわけではなく、そこには必ず生きた会話や交流が必要となってきますが、例えば古代ギリシャでは数々の「学派」や「学校」が誕生したことで、集団で思想や活動を共有し、共同研究で成果や資料を蓄積して次世代に引き継ぐ文化的な役割を果たしていきました。 
 
なかでも、プラトンが開いた学園アカデメイアは、与えた影響と存続した期間の長さで群を抜いた存在でしたが、彼は師であるソクラテスの刑死から、日常生活の空間で自由に議論することの危険をよく認識し、あえて空間を限ることで、学問の自由と発展を可能にする場を作り出したのでしょう。 
 
古代ギリシャ哲学に関する国内の権威である納富信留は、『世界哲学史2』の第一章「哲学の世界化と制度・伝統」の中で、前4世紀に開かれたアカデメイアが実際にどのような内実をもっていたのかをめぐって、推定であると断りつつ、次のように描写しています。 
 
アカデメイアでは授業料を取らなかった。入門は身分や性別を問わず、女性の成員もいた。特定の教育プログラムはなく、レヴェルに応じた議論や研究がなされた。プラトン自身はほとんど講義しなかった。共同食事など共生を通じた哲学が目指された。現代で言えば、学校というより研究所に近い組織かもしれない。(中略)比較的自由で自律的な仕組みによって代々の学頭によって運営されていたのであろう。途中で衰退や断絶の時期があったかもしれないが、学園は後五二九年に東ローマ工程ユシティニアヌス一世(483~565)が異教徒の学校閉鎖令を出すまで九〇〇年あまり存続し、多くの哲学者たちの修練の場となると共に、西洋哲学のシンボルとして後世に語り継がれることになる。」 
 
今期のあなたもまた、自身の学びや研鑽において、いかに「共生」ということが可能か、ということを改めて新しい年の抱負と結びつけつつ、考えてみるといいでしょう。 
 
 
参考:納富信留ほか『世界哲学史2 古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開』(ちくま新書) 
12星座占い<12/26~1/8>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ