1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

婚活アプリに潜む既婚者の罠

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ーDATAー

片山さん(仮名) /39歳/会社員

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アプリで出会い、交際へ。彼の財布に入っていたポイントカードで発覚

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――既婚者とつきあった経験がある?

はい。35歳の時に婚活アプリで出会い、つきあった男性が既婚者でした。(以下、片山さん)



――いつ既婚者とわかったのですか?

つきあって3ヶ月ほどたった時です。彼が私の家に遊びにきた時、財布の中からベビー用品店のポイントカードを見つけました。以前から「怪しいな」と思うことがあったのですが、その瞬間、疑惑が確信に変わりましたね。


――彼のどのようなところが「怪しい」と思っていたのですか?

最初に抱いた不信感は、マッチングしたアプリ上での名前がまったくの偽名だったことです。本名が「章太郎(しょうたろう)」だとすると、アプリでは「ショウ」とか「S」とか「SYO」とか、似たような名前にすることが多いと思います。

でも彼のアプリ上の名前は、本名と一文字もかぶらないような名前でした。



――苗字も、ですか?

はい。かすりもせずです。でも、はじめて会った時に確認すると「本名に近いと、会社や取引先の人とかにバレたら嫌だから」と偽名にしている理由と、本名も教えてくれました。彼の本名をググってみたら、彼から聞いていた通りの経歴の人物の情報が出てきて、安心しましたね。

その後、2度目のデートで告白され、つきあうことになったんです。

友人の「その人、怪しくない?」は当たる

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――スピード交際ですね。

そうですね。私は当時35歳、結婚して子どもを持つことを真剣に考えていたので「つきあうなら結婚前提で」とお話したうえで、つきあうことになりました。

――彼も結婚を考えていると?

はい。彼も同い年で、自身も結婚を考えていると話していました。彼はいわゆる高学歴・高身長・高収入のハイスペックな男性。それもあって、私は「素敵な人とめぐりあえた!」と舞い上がっていたのですが、友人からは「その人、怪しくない? 既婚者っぽくない?」と言われることが多々ありました。


今振り返ってみると、つきあった当初から、彼には怪しい点がたくさんあったんですよね。



――たとえばどんなところですか?

会社の同僚と社宅でルームシェアをしていて、家には呼べないと言われたり、スマホを2台持ちしていたり。私の家に遊びにきた時も、スマホを絶対に肌身離さず持っていました。



――それは怪しいですね。

さすがに私も怪しいなと思ったので、何度か休日の深夜に突然彼に電話をかけてみたり、お泊りを提案してみたりしたんです。すると彼は、深夜の電話にも出てくれるし、お泊りもOK。だから勘違いかなと思いましたが、やはりどこかで友人の言葉が引っかかっていました。


つきあって3ヶ月くらいたったある日、おうちデートをしていたら彼が「会社から電話だ!」と私の部屋を出ました。そのタイミングでこっそり財布を見たんです。

教えてもらっていた住所と別だった

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――財布の中には何があったのですか?

赤ちゃん用品のポイントカードを見つけました。カードには彼の名前が書かれていて、かなりの衝撃を受けました。

免許証もあり、そこに記載されていた住所は、聞いていた住所と全く違っていたんです。彼は社宅でも何でもない、ファミリー向けの分譲マンションに住んでいました。



――それは衝撃ですね。

うわぁ、黒だ……!と絶句しましたね。

その後、理由は告げずに別れを切り出しました。正直彼にのめりこんでいたので、友人の忠告がなければ、そのまま気づかずにズルズルと交際していた可能性もあります。友人に相談して本当によかったなと思いました。



――彼は別れを受け入れてくれたのですか?


はい。あっさりと彼は受け入れました。ここからは想像でしかないのですが、彼にとって私は奥さんが里帰り出産している3か月間の遊び相手だったのかな、なんて考えたりしましたね。

交際3か月目は、あきらかに会える頻度が減っていましたから。



――その後、どうなりましたか?

婚活アプリを使って婚活を再開したのですが、その後付き合った人とはすぐに自然消滅しちゃって。

既婚者、自然消滅……と、落ち込む出来事が続いて、しばらく婚活を休んでいました。でも、半年くらいたって「これでダメなら結婚は諦めよう。最後のチャンスだ!」と思い、アプリを再ダウンロードして、婚活を再開したのは37歳の時でした。



後編へ続く。37歳からのマッチングアプリ婚活の行方は?

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。